「頑張れ、広電」

2011.12.03

西広島を出ると、道路ではなく専用の軌道を走るため、電車のスピードもあがったようだ。車両が高速運転に適していないせいか、結構揺れる。住宅地の間を縫うように走り、時々踏切もあったり、短い川を鉄橋で越えたりと、普通の都市近郊電車に乗っているのと変わらない車窓風景だ。右手からJR山陽本線が寄り添ってくるが、少々間を開けて並走する。広電の車庫が右手に見えてくる。荒手車庫といって、宮島線の電車のねぐらだ。様々な電車が休んでいるが、ドイツのドルトムントからやってきたビール会社の広告を纏った車両が目を惹く。

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車庫を通り過ぎると、商工センター入口駅に着く。駅名は違うがJR山陽本線の新井口駅が並んでいる。ここからは、JRと広電が完全に平行して走ることになる。広電がなりふり構わず懸命に走っていると、JRの近郊型電車があっさりと追い抜いていく。「頑張れ、広電」と応援したくなる光景でもある。宮島線の各駅は、ホームの壁にずらりと広告板が並び、駅名標が目立たない。車内放送も聞き取り難かったので、電車がどこを走っているのかはなはだ心もとなかった。また、各駅は高いホームと低いホームがつながっている面白い構造だ。屋根もそれに合わせて段差がある。これは、かつて軌道線と鉄道線で別々の車両を走らせていた時代の名残である。今は低床式の路面電車か幅を利かせているので、高いホームは過去の名残となってしまった。住宅地の家並みを縫うだけでなく、崖っぷちを走ったり、トンネルをくぐったりと、市内の道路を走っているときとは様変わりの車窓は、海辺を走ることでフィナーレを迎える。海といっても瀬戸内海だから波もなく静かだ。阿品あたりでは、海に木組みの棚がずらりと並んでいたが、これは牡頗の養殖である。牡願は、広島風お好み焼きと並んで広島名物だ。終点宮鳥口駅は行き止まりの小ちんまりとした終着駅だった。この駅のみ、料金支払いは車内ではなく、駅の自動改札で行う。降りると島式ホームの反対側には新型のグリーンムーバーが停まっていた。原爆ドーム前で乗り損ねた車両である。このままこれに乗って折り返したい衝動に駆られたが、せっかくここまで来たので、我慢して宮島に向かうことにした。




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